【頭痛対策】鎮痛薬を不適切に使うと、なぜ頭痛が慢性化するのか。

一般に頭痛が生じると、痛みが神経を通って脳に伝わり、痛みを抑える物質が出る。炎症を抑える鎮痛薬の効果がこれに加わり、痛みが抑えられている。だが、鎮痛薬をより多く飲み続けると、次第に脳がマヒして痛みを抑える物質を出さなくなる。

脳内には「痛みの番人」と呼ばれる痛みの調節機能があり、セロトニンなど複数の脳内物質がこの機能を動かしている。だが、鎮痛薬を飲み過ぎてしまうと、この機能が本来の働きをしなくなる。その結果、わずかな痛みでも敏感に感じるようになり、より多くの鎮痛薬を飲んでしまうという「負のスパイラル」に陥ってしまう。これが薬物乱用頭痛が起こる仕組みだ。

薬物乱用頭痛は、鎮痛薬でなくても起きる。片頭痛は、CGRPという物質が脳の三叉(さんさ)神経から過剰に放出された結果、血管が広がったり、炎症が生じたりして生じる。血管の拡張や炎症を抑制するのが片頭痛治療薬の「トリプタン」などだが、痛くない時でも不安からトリプタンを飲み過ぎてしまうと、わずかな刺激で三叉神経からCGRPが放出されて脳が過剰に反応するため、頭痛の頻度が高まる。

薬物乱用頭痛には明確な診断基準がある。国際頭痛学会の国際頭痛分類(第3版)によると、以前から頭痛を持っている患者で、1カ月に15日以上頭痛に悩まされていたり、1種類以上の頭痛薬や鎮痛薬を3カ月を超えて服用していたりした場合などがこれに当てはまる。複数の鎮痛成分を含んだ市販薬や、処方された片頭痛の治療薬だと、1カ月に10日以上使えば薬物乱用頭痛と言える。

【文責】登坂紀一朗(薬剤師)