「ゾフルーザ」に人気集中 耐性発現の課題も 「監視必要」と専門家

インフルエンザが猛威を振るう中、昨年発売されたばかりの治療薬「ゾフルーザ」に人気が集まっている。1回だけの服用で済むなど、既存薬に比べて使いやすいためで、製造販売元の塩野義製薬は増産の検討を始めた。ただ、薬が効かない耐性ウイルスができやすいという課題もあり、専門家は「安易に飛びつかず、監視を強化する必要がある」と慎重な使用を呼び掛けている。

ゾフルーザは、ウイルスが細胞内で増えるのを抑える働きがある薬で、タミフルなどの既存薬とは仕組みが異なる。回復までの期間はタミフルと同程度だが、服用翌日に患者から検出されるウイルス量は少ないため、感染拡大を抑える効果が期待される。専門家は「対策の手段が広がるのは良いこと」と歓迎している。

また既存薬は吸入や5日間の服用が必要だったが、ゾフルーザは1回の服用で済む。このため薬を指定して処方を求める患者も多いといい、販売後すぐに売り上げトップになった。同社によると、年明け以降の患者急増で予定していた800万人分の供給量が逼迫しており、増産を検討している。

しかし、慎重な使用を求める声もある。治験で12歳未満の子どもの23.4%に服用後、耐性ウイルスが出たためだ。12歳以上も9.7%で、タミフルと比べて高い。

国立感染症研究所は、新しいインフルエンザの治療薬「ゾフルーザ」を使った患者から、治療薬に耐性をもつ変異ウイルスを検出と、24日発表した。21株中2株、いずれも投与3日後の児童から。

耐性ウイルスを保有する患者は回復に時間がかかるほか、外部に拡大すれば薬自体が使えなくなる恐れもある。川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長は「現状では問題ないが、観察が必要」と。

臨床試験の段階から、従来のインフルエンザ治療薬より耐性ウイルスが生まれやすいと指摘されていた。耐性ウイルスが広がると薬の効果が薄れるため、専門家は「薬の特徴を踏まえた上で適切な処方を」と呼びかけている。検出に当たった横浜市衛生研究所の川上千春氏は、「パロキサビル(ゾフルーザ)の耐性株に関しては、これまでと作用機序が異なる薬剤であることから、今後の流行株の動向をみる必要がある」とコメントしている。日本小児科学会は、「十分なデータがない」として推奨していない。

千葉県の亀田総合病院も「利用者が増えるに伴い治験では判明していない副作用が出る可能性がある」として今シーズンは処方しない方針。

【文責】登坂 紀一朗(薬剤師)