筋肉衰える難病「ALS」、白血病薬で治験開始へ

全身の筋肉が衰える難病「 筋萎縮性側索硬化症(きんいしゅくせいそくさくこうかしょう) 」(ALS)を、白血病の薬で治療する臨床試験(治験)を始めると、京都大のチームが26日発表した。患者のiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使った研究で、ALSの進行を抑える効果を確認しており、治験では20歳以上80歳未満の患者24人を対象に安全性を検証する。

この薬は、慢性骨髄性白血病の治療薬「ボスチニブ」で、京大病院を含む4医療機関で治験を行う。

対象は、発症から2年以内で、自立して日常生活を送ることができる患者。

1日1回、1~4錠を最大12週間服用してもらい、主に副作用の有無を調べ、治療効果も探る。

ALSは体を動かすための神経が徐々に失われる難病。2017年度末現在、患者は約9600人に上る。進行を遅らせる薬はあるが効果は限定的で、根本的な治療法はない。

京大iPS細胞研究所の井上治久教授らは、患者のiPS細胞から病気の特徴を持つ神経細胞を作り、1416種類の薬の候補と反応させた。17年、ボスチニブに神経細胞の死滅を抑える働きがあることを確かめ、治験の準備を進めていた。

井上教授は「実験では、既存薬よりも効果が認められたが、まずは慎重に安全性を見極めたい」と話す。

iPS細胞を使った創薬研究では、慶応大もALSを対象に別の薬で治験を実施中で、日本ALS協会近畿ブロック会長の増田英明さん(75)(京都市)は「私たち患者は、長い間治らないと言われたALSと闘っている。治療の選択肢が増えることを切に願う」とコメントした。

【文責】登坂紀一朗(薬剤師)