【風疹対策】風疹の患者、1486人に 官民、ワクチン補助進む

今年の風疹の患者数は今月21日までの国立感染症研究所の集計で1486人に上り、既に昨年1年間(93人)の15倍を超える。流行拡大で最も懸念されるのが、妊婦から胎児へ母子感染して重い障害が生じる恐れがあることだ。妊婦やその家族への感染を防ごうと、行政や企業の対策も進みつつある。

胎児の障害は心臓病や難聴、白内障など多岐にわたり、総称して先天性風疹症候群(CRS)と呼ばれる。発症頻度は妊娠初期ほど高く、1カ月で50%以上、2カ月35%、3カ月18%、4カ月8%程度。2012~13年の大流行では、その後45人のCRSが報告され、11人が死亡した。妊婦の感染対策の難しさは主に2点あり、一つは大人が風疹にかかっても軽症や無症状のケースが少なくない点だ。東京都立駒込病院の今村顕史・感染症科部長は「軽症だと本人に風疹感染の自覚がないこともあるが、ウイルスは排出されるので感染を広げてしまう。また、妊娠1カ月くらいの時期は、妊娠に気付かないうちに胎児に感染してしまっている可能性もある」と指摘する。

もう一つは、免疫状態が下がっている妊婦にはワクチン接種ができない点。このため、若い女性やそのパートナーが集まる職場での感染予防が重要になる。特に30~50代の男性はワクチン接種歴がない人が多く、感染リスクが高い。今村部長は「母子手帳で社員に過去の接種歴を調べてもらったり、風疹の疑いがある社員には出勤を禁じたりする対応が望ましい」と勧める。独自の対策を急ぐ企業もあり、ロート製薬は今月、希望する全従業員を対象に、会社負担でワクチンを接種すると発表。 また、患者数が最多の東京都では、大田区と足立区が11月からワクチン接種の費用補助対象に男性も加える。千葉県は妊婦の配偶者も無料で抗体検査を受けられるようにした。

【文責】登坂紀一朗(薬剤師)